2023年5月8日

iPhone 14 Pro カメラの進化と動作確認

この写真はiFixtitが撮影したiPhone 14 ProのX線写真を元に、イメージセンサーのサイズを旧モデルと比較してみたものです。
 https://www.ifixit.com/News/65159/iphone-14-teardown-wallpapers 

iPhone 14 Pro(Max)では、それぞれのカメラが、どう進化したのか、どんな動きをしているのか見てみます。

●超広角カメラ

iFixtitが撮影したiPhone 14 ProのX線写真を見ると、超広角カメラのセンサーサイズが大きくなったのが分かります。
Appleは超広角カメラにいろいろと役割を与えました。マクロ撮影、Macとの連携カメラ、アクションモードをオンにした時も超広角カメラに切り替わります。(アクションモードでは、画角や手ブレ抑制の関係で超広角カメラの使用が中心になると想定されているのでしょうか?)
写真の画質向上のためだけでなく、これらいろいろな役割のためにセンサーサイズを大きくする必要があったのかもしれません。

マクロモードは、メインカメラ(1x)で撮影していても、被写体が接近すると超広角カメラのデジタルズーム(0.5x→1x)に切り替わります。
マクロモードに勝手に切り替わってほしくないなら、設定>カメラ>マクロ撮影コントロールをオンにして、マクロ撮影時に出現するマクロモード切り替えボタンをオフにすると超広角カメラに切り替わることはなくなります。

超広角カメラの写真モードでは、メインカメラを隠すと画面全体が露出オーバー状態で真っ白になるのはこれまで通り。

●メインカメラ

これまで『広角カメラ』と称していましたが、14シリーズからは『メインカメラ』となりました。2xでもこのカメラを使いますし『広角カメラ』では具合が悪いですからね。
メインカメラの一番の見どころは、なんといっても格段に大きくなったイメージセンサーです。
従来の12MPから48MPに高精細化されました。
しかし、通常は4つのピクセルを仮想的に1つのピクセルとして扱う「クアッドピクセル」により12MPのHEIF(またはJPEG)で撮影されます。
48MPで撮影するには設定の「ProRAW解像度」で48MPを選択しておかなければなりません。

48MPは後ほど見ていくとして、まずはクアッドピクセルの12MPから。
1xの画角は、従来の26mmから24mm (35mm版換算)とさらに広角になりました。
12 Pro Maxでは、設定でHDRのオン・オフが切り替えられるようになっていましたが、13 Pro以降ではその項目がなくなりました。
また、Deep Fusionも、12 Pro Maxではカメラの設定で「フレームの外側を表示」をオンにするとDeep Fusionがオフになるという話があり、実際に試すと、確かに違いが確認できました。
しかし、14 Pro Maxで試してみたところ、その違いは確認できません。
そのようなことから、13 Pro以降のスマートHDR 4においては、もはやHDR合成が当たり前のこととされたようです。

この「スマートHDR 4」というバージョンは、13 Proから変わっていません。
今日のスマートフォンのカメラはハードウェアだけでなくソフトウェアによる処理が重要になっているので、この部分に変化がなかったことに驚きました。

バーストモードではDeep FusionやHDR合成されないJPEGの写真になります。
やはり細部の描写は合成された写真より劣りますが、動いている被写体を撮影する際は、HDRだと合成のズレのような跡が残ることがあるので、バーストモードで撮ったほうがいい場合もあります。

そして、48MPイメージセンサーの中心部分を切り抜くことによって、12MPで2x(48mm)の撮影ができるようになりました。

12MP撮影でのデジタルズームは、
・1.1〜1.9倍まではクアッドピクセルでのデジタルズーム
・2.1倍〜はイメージセンサーの中心部を利用した12MPでのデジタルズーム
となります。(3倍以上でも場合によってはメインカメラのデジタルズームが使われます)

●望遠カメラ

iFixtitのX線写真から分かるように、望遠カメラのセンサーサイズは、12 Pro Maxからずっと変わっていないようです。

望遠カメラを搭載するiPhoneでは、薄暗い状況になると、3x(機種により2x、2.5x)に切り替えても望遠カメラを利用せず、広角カメラのデジタルズームで撮影されます。
解像度は落ちても、そのほうがノイズが抑えられて“まだマシ”な写真になるからです。
それは14 Proでも変わりません。
ただ、従来は1xから2.5xや3xに拡大していたものが、14 Proでは2xから拡大できるので1.5倍のデジタルズームで済み、画質の劣化がこれまでより抑えられます。

さすがに拡大すると厳しいですが。

●48MP

48MPはProRAWでしか撮影できません。高精細ですが、1枚あたり80MB〜100MB以上のファイルサイズになってしまいます。

拡大して12MPと比較してみました。
48MP側はピクセル等倍、12MP側は48MPと同じになるように拡大。
『ProCamera』などのサードパーティ製高機能カメラアプリの中には、48MPでJPEGやHEIFで撮影できるものもあり、それらですと高精細のまま1枚あたり10MBほどに抑えられます。

12MP撮影時のデジタルズームは、これまで同様、ズームしていっても画像サイズは4032 x 3024ピクセルのままでしたが、48MP撮影でのデジタルズームは、1.2倍…1.5倍…とズームしていくと、30MP…19MP…と48MPからトリミングされ、サイズが小さくなってしまいます。

48MPで撮影した写真を編集や画面比4:3以外で撮ると、元の写真に加えて編集された写真のJPEG写真(48MP)が生成されます。
下の例の場合、元のProRAW 48MP写真が91MBで、バックグラウンドで11MBの編集されたJPEG写真が生成されていて、計102MBとなっています。
iPhone内でしか写真を保存・管理してない人は注意が必要です。