2015年12月26日

Shade、ブール演算に悩まされる

3Dプリントのデータ作成のためにShadeを使いはじめて、まず、壁にぶち当たったのがブール演算。
Illustratorで言うところの「パスファインダー」みたいなもんだろうと思ったのですが、そんな素直なものではありませんでした。

・Illustratorのパスファインダー

・Shadeのブール演算


例えば、この部品。そんなに複雑な形、構成ではないのですが、

これらの形状をブール演算で融合して……

次に、この形状を融合すると……

はい、消えた!

と、こんなことがザラに起きます。

どうしてこんなことが起こるのか?調べてみると、ブール演算を正しく行うには、いくつかの条件があるようです。


Shade 3Dユーザフォーラムhttp://forum.shade3d.jp/t/topic/158/4
・厚みのある形状同士
・同一平面を作らない(片方を大きくしたり食い込ませたり)


Shade 3Dの使い方http://shade3d.jp/training/howtouse_shade3d/boolean.html
・「ブール演算に使用する形状は厚みのある形状でないとダイアログが表示され、計算結果も正しく行われません。 厚みがあり、穴のない多様体同士を選択する必要があります。」
・「ブール演算結果が思い通りにならない場合は交差部分を数ミリ移動してみるのもひとつの方法です。」


厚みに関しては、3Dプリントで立体化するのですから、当然、厚みがなければなりません。

同一平面を作らない」というのは、気をつけた方がいいようです。
二つの形状を融合しようとする場合、面と面をくっつけるのではなく、
立体同士を交わらせるようにする方がいいようです。
たとえブール演算がうまくいっても、3Dプリントアシスタントのチェックでエラーが出る可能性があります。


交差部分を数ミリ移動してみるのもひとつの方法です。」というのは、これでうまくいったことが何度かありました。
ただ、数ミリはおろか、0.1mmも動かせない場合がほとんどでしたので、そんな時は、0.01mmだけでも動かすとうまくいくこともありました。


上記のShade公式の他にも、解決方法があるようです。
・物理メモリーの問題
「少しでもメモリーの消費を抑えるためにプレビュー表示をシェーディングではなく、ワイヤフレームにするとか、ブール演算を実行する前にShadeを再起動する」
ということですが、私の環境下、制作データでは、特に影響はないようでした。

・ブール演算する順番を変える
これが一番簡単で、ブール演算がうまくいかない時は、まずこれを試しています。


これらの方法で、すべてうまくいくようになったわけではありませんが、なんとかなるようにはなりました。


あと、ブール演算の成否ではないのですが、「分割」を「細かい」で作成して3Dプリント出力サービスで注文したら、下の写真のように、円というより多角形のようになってしまいました。
特に、大きな円形の箇所は「最も細い」にした方がいいでしょう。


それにしてもブール演算には、もっとおおらかになってほしいです。





2015年11月21日

撮影機材を3Dプリントでつくる -5 〜スコープホルダー〜

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本題のスコープホルダーです。
(『デジスコを手持ちで撮る!〜カメラホルダー〜』参照)

ストック(肩に当てるアーム部分)は、引き続きUNカメラホルダーDX-IIを使用。
それにフィールドスコープをカメラプレート(エツミ スライディングプレートE-6081)に取りつけ、これらを基本骨格としています。


カメラプレートやフィールドスコープの台座、トイガンのグリップなど、市販品と組み合わさなければならないので、それらの寸法に合うように3Dデータを作成しなければなりません。
しかしながら、3Dプリントはおろか、3D作成ソフトを使うこともはじめてで、3Dプリントがどれくらいの精度で造形してくれるのかも分からずに、データを作成しなればなりませんでした。

悪戦苦闘しながらも、とりあえず採寸通りの寸法でデータを作成、DMM.make(http://make.dmm.com)で注文。


出来上がりは……




(小型三脚はこの写真を撮影するための支えです)


●3Dプリントで作成したパーツ
・バーストモード用のレリーズを固定するためのパーツ
・スコープを固定する、ホルダー本体
・グリップを固定するパーツ
・レリーズのスイッチが何かに当たって折れ曲がるのを防ぐ、レリーズガード
・チークパッド(ほほ当て)
・照準器を取り付けるパーツ(これに関しては後日)


各パーツは、ピッタリ!なところもあれば、キツくて少し削らなければならなかったところ、緩かったところと様々でした。

3Dデータ作成においての注意点として「これくらいの余裕をもたせて設計したほうがいい」ということが一概に言えない結果になってしまいましたが、感覚的には少しつかめた気もします。
あえて文字で書くなら、
・既製品と組み合わせる部分は、寸法通りにしたほうがよさそう。
・3Dプリント同士を組み合わせる部分は、0.2mmほど余裕をもたせたほうがよさそう。
・ネジ、ナットなどの小さな物の組み込みも0.2mmほど余裕をもたせたほうがよさそう。
といったところです。


●使用感
前述の通り、キツイところは削ったりして各パーツを組んでみると、想定以上の強度と剛性になりました。
1日中使っていても、まったくガタが出ることもありませんでしました。
と同時に、やはりモノ造りの常で、実際に使ってみて分かることも多々あり、修正が必要な箇所もありました。

さらに、うっかりミスや、寸法の間違い、精度の見込みの甘さなど、いろいろありましたが、データをちょっと直せば、すぐにパーツを修正できるのが3Dプリントのいいところ。

って、一つのパーツで3,000円とか4,000円とかしてるんだから、そんな簡単に作り直してもいられません!
しばらく、これを使いながら、ぼちぼちと修正、アップデートをしていこうと思います。


●この機材で撮影した写真






2015年11月13日

Apple Pencilのデモ機を触ってきました

MRJを撮ってたら、完全に出遅れてしまったiPad Pro。
Apple Storeに行くも、私が欲しかったモデルは在庫切れ。
それでも、Apple Pencilのデモ機があったので、少し触ってきました。

「メモ」Appで、"Pencil"というくらいだから、まずは鉛筆を試してみました。

ズレはどれくらい出るのか、注視してペン先を画面に置きます。
『あ……』
遅延はどうなのか?そのまま線を引いてみます。
『あ……』


これは、もう、鉛筆です。


ペン先のズレは気になりませんでした。思ったところから線を引けます。
遅延も、ないと言っていいでしょう。
デッサンのようにサッサッサッと線を引いても、入りから抜きまで自然です。
濃淡のコントロールも、感圧がどうとかじゃなくて、本物の鉛筆のように(本物以上に?)コントロールできます。

数々のスタイラスペンが克服しようとしてきたこれらの問題は、もう、気にする必要がなくなりました。


すぐ後に、家電量販店でワコムの液晶タブレットを触って違いを確かめてみましたが、フィーリングはCintiqをも超えています。
しかも、iPadの「画面の向きをロック」をオンにすれば、好きな手の向きから描けます。
この取り回しの身軽さは、重くてケーブルがつながっている液晶タブレットでは適いません。


しかし、いくら描画の再現性が完璧でも、実際の鉛筆とApple Pencilには、大きな違いがあります。

フリクションです。

プラスチックのペン先とガラスの画面では、やはりツルツルと滑ります。
アンチグレアのフィルムを貼るとか、ペン先をヤスリをかけて粗くするとか、購入したら検証してみたいです。


「メモ」Appで、鉛筆の次はペンを試してみよう!としたところで、デモ機のバッテリーが切れてしまいました。
ということで、本当に少し触っただけなのですが、これで「手描きをどのようにデジタル化するのか」という探究は、終焉するのではないかと思えました。

2015年11月2日

Apple WatchのTaptic Engineが壊れた?!


Apple WatchのTaptic Engineを擬音で言うと
「ブルルルル……」
といった感じでしょうか。
実際には振動だけで、音はほぼしません。

それが、先日
「ジィィィィ……」
という、イヤ〜な音がしました。
そう、振動ではなく「ジィィィィ……」という音がするのです!

通知のたびに「ジィィィィ……」
通知の種類に関係なく「ジィィィィ……」

と、錆びついた歯車か巻けなくなったゼンマイかといった、イヤな感触です。

ああ、これはGenius Bar行きだ……。
でも。その前に、一応、再起動してみよう。
ということで、Apple Watchを再起動。

すると……


直りました。


明らかにハードウェアの故障だと思ったのですが、さすが、ハードもソフトも自社で開発しているApple!……なのか?

とにかく、それから1ヶ月ほど経ちますが、問題なく動いてます。

2015年10月28日

撮影機材を3Dプリントでつくる -4 〜出来上がったパーツを試してみる〜

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3Dプリントで造ったパンハンドルとバーストモード用レリーズアダプターを試してみました。

パンハンドルを取りつけるパーツは、『SLIK SH-707E用 ロングパンハンドル』を取りつけるように造りました。

私が使用しているSIRUIのジンバル雲台PH-20は、2通りの取り付けができるようになっています。
・独立したカメラ台(大)

・ジンバル雲台のアームにスコープを横にして直に取りつけるカメラ台(小)

この両方の取りつけ方に対応するように、パンハンドルを取りつけるネジ穴を2つ造りました。


まずは、カメラ台(小)。
私は、普段こちらを使っています。(なぜなら、少しでも荷物を減らしたいから)
問題なく使えます。
もう少し、パンハンドルの取りつけ角度を浅くしてもよかったかな。


次にカメラ台(大)。
しまった!レリーズアダプターに干渉してしまいます。
使っていないだけあって、頭の中だけで設計してしまいました。


レリーズアダプターのほうは、問題なく機能しました。




はじめて3Dプリントで造ってみましたが、データの作成ではパズルのように頭を使い、注文してからはどんなふうに仕上がってくるのかドキドキしながら待ち、データから実体を持ったパーツを手にした感激、ハンドメイドとまた違ったモノ造りの楽しさがあります。






2015年10月17日

撮影機材を3Dプリントでつくる -3 〜バーストモード用レリーズアダプター〜

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バーストモードで撮影するためにiPhoneのボリュームボタンを(物理的な)レリーズで押すという、なんとも原始的なことをやっています。
iPhone 6 Plusでデジスコ:3 〜バーストモードについて〜』参照
そこでコアとなるのは、エツミの「ニューライカリング」です。
これをiPhoneのケースに取り付けるためのパーツを造りました。


3つの部品からなり、これらを1つのファイルとしてデータを作成しました。
これも、素材はナイロン(ブラック)です。
アクリルを試してみたかったのですが、値段がナイロンの2,269円に対して、 3,758円ということで、まだ試作段階ですし、他にもパーツを造らなければならないので、結局ナイロンにしました。


仕組み……というほどのものではないのですが、「ニューライカリング」の中に3Dプリントで造った円柱体を入れて、それをレリーズが押し上げてiPhoneのボリュームボタンを押すようになっています。


●精度の確認
フタを組み合わせてみると、若干すき間ができています。使用には問題ありませんが。

・ネジを締めてみます。
長さ6mm(M2)のネジがキッチリ収まるようにデータを作成したのですが、1mmほど届かず、ナットを上下さかさまにして、なんとか締めることができました。
細かいところほど、余裕を待たせたほうがいいのでしょうか。

・DMM.makeでのナイロンの最小肉厚は0.8mmとなっているのですが、今回、最も薄い部分で1mmでした。このパーツでは、実用上の強度は問題ないと思いますが、1mmという厚さは、ちょっと頼りない感じです。



フォトアダプター(ケース)に取りつけて完成!



2015年10月11日

撮影機材を3Dプリントでつくる -2 〜3Dプリントサービスの造形精度〜

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これは、ジンバル雲台にパンハンドルを取りつけるためのパーツです。
(『ジンバル雲台とパンハンドル』参照)
大きさは 39 x 52 x 10.57mm でデータを作成しています。そこに、いろいろ取りつけるための穴が開けてあります。
プリントサービスはDMM.make(http://make.dmm.com)、素材はナイロン(ブラック)、金額は3,168円でした。

素材の感じとしては、なんていうか、プラスチック製の軽石みたいな感じです。重さは、普通にプラスチックの塊ですが。
でも、梨地仕上げみたいで撮影機材としては、いい感じです。
DMM.makeの説明に「ナイロンは素材として柔軟性が高い」とありますが、こういう塊になると柔らかいようなことはなく、非常にソリッドで、強度の問題はなさそうです。


肝心の精度は……
まず、全体のサイズ。
39 x 52 x 10.57mm のデータにに対し、39.2 x 52 x 10.5mm。
これなら、まあ、いいでしょう。

しかし、それよりも、まず目についたのが3/8のネジ穴です。
明らかに楕円です。
このネジ穴の内径(山の径)は7.80mm(Shadeでは0.00mmの単位まで)でデータを作成しています。
測ってみると8.2 x 7.5mmです。
DMM.makeの精度の目安として「±0.15mm かつ 長軸方向に ±0.15%」と説明が載っていたのですが、それ以下の精度です。
ここに3/8→1/4ネジ穴変換アダプターを取り付けるのですが、まったく入りません。
苦労して作成したネジ穴だったのですが、仕方がないのでタッピングでネジ穴を拡張しました。
こんなことなら、下穴だけ作っておけばよかった……。


もう一つの穴はカメラプレートに取りつけた時に回転するのを防ぐための「ダボ」を差し込む穴です。
この穴も直径2.9mmの円で作成したデータに対して、2.9 x 2.6mmの楕円で、ダボが入りません。
仕方がないので、ハンマー(プラハン)で強引にたたき込みました。


側面の二つある1/4のネジ穴は、パンハンドル本体を取りつけるためのものです。
こちらはピッタリ!1枚目の写真でいうと奥のほうの穴は若干キツイですが、問題なくネジ込めます。
やっぱり「苦闘」してネジ山を作ってよかった!


**********

ある程度の誤差が出るのは仕方がないことだと思います。
これでも、市販の個人用3Dプリンターと比べると、精度もいいでしょうし、サポート材を取り除く手間もはぶけてキレイに仕上げて送ってくれます。
ただ、最後の微調整で手作業は必要になってくるのかな、といった印象です。

それにしても、この結果を踏まえても、どれだけ寸法の幅をもって作成していけばいいのかが見えてこない……。


パンハンドル等を組み付けて完成!


2015年10月10日

撮影機材を3Dプリントでつくる -1

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まあ、見てください、この涙ぐましいDIYな結晶を。
デジスコを手持ちで撮る!〜カメラホルダー〜』のスコープホルダーです。

このエントリーを書いてからも、あれこれ改良していたのですが、これは既製品だけでは限界があるな、と思い至りまして。
そこで、3Dプリントでパーツを造ることにしました。

しかし!3Dプリントはおろか、3D作成ソフトすら使ったことがありません。
一からのスタートです。


まず、プリント自体はDMM.makehttp://make.dmm.com)と決めていました。
個人用の市販プリンターでは、まだまだ精度が低いようなので。置く場所もないですし。


Mac用の3D作成ソフトは、DMM.makeでPhotoshop CCと以下の3つが紹介されています。
AUTODESK123D Design

・Shade 3Dhttp://shade3d.jp

・Rhinoceros(ライノセラス)(http://www.rhino3d.co.jp/index.html

まずは123D Designが無料でApp Storeからダウンロードできるということもあり、試してみたのですが、一瞥(いちべつ)して数値での厳密な製作には不向きだと思いやめました。
ということで、Shade 3Dを使うことにしました。
Shadeのサイトにはチュートリアルが豊富に用意されているので、初心者には参考になります。
しかし、いくつかパーツのデータをShadeで作成してみて思うのは、Rhinocerosを試してみたいな……ということです。
まあ、そんなに簡単に乗り換えられる金額ではないですし、とにかくShadeで作成していきますが。
悪戦苦闘、試行錯誤することとなっていますが、その模様は、ぼちぼち書いていこうと思います。(操作性が悪いとかいったことではなく、思わぬ演算結果に振り回されるという話です)


とりあえず、完成したパーツです。
プリントサービスはDMM.make。素材はナイロン(ブラック)。金額は3,168円。
ディティールなど、詳細は次回に。