「フィルター」と言ったら、今やソフトウェアによる画像処理のことを思い浮かべる人がほとんどでしょう。
でも、レンズ交換式カメラを使っている人にとっては、レンズに取り付けるフィルターのほうが馴染み深いかもしれません。
そのレンズフィルター、スマホで使っている人は、ほとんど見かけません。
それも当然、スマホはレンズフィルターを取り付けられるようにはなっていませんから。
そこで、こういった製品もあります。
49mm径のフィルター枠がついたクリップで、スマホを挟み込み取り付けます。
49mmという大きさは、フィルターの種類も豊富で、またiPhone Proシリーズの3つのカメラすべてを覆うことができます。
ただ、私はクリップ式の固定はスマートとは思えません。
クリップが画面に干渉し、場所によっては操作に影響してしまいます。
エツミのマグネットマウント(N極/S極、どちらでも可)を使い、同じくエツミのカメラネジ(短)で固定します。
このエツミ マグネットマウントは、磁石と吸盤の力でiPhoneの背面にくっつきます。
ただし、磁石といってもMagSafe規格ではないので、MagSafe対応アクセサリーのように、バチッと決まった位置に磁力でくっつくような感触はありません。
(※マグネットマウントの磁力が弱いわけではありません。金属面であればしっかりと磁力でくっつきます)
ですから、吸盤に頼る部分が大きいので、吸盤が張り付くようなツルツルした平らな背面でなくてはなりません。
ケースでいうと、ポリカーボネートやTPUのケースは使用できます。シリコン製も試してみましたが大丈夫そうです。iFaceのようなカーブした面もくっつきます。
一般的な吸盤がくっつかない素材、例えば凹凸のある背面だったり、表面がザラザラしてたり梨地のようなケースは使用できません。
iPhone本体に直接装着する場合、背面がガラス製の機種は使用できますが、アルミ製の機種は使用できません。
また、背面からレンズの高さが3.2mm以上の機種は、フィルターホルダーがレンズに当たってしまいます。
具体的にはiPhone 13 Pro以降の機種はケースをつけていないと使えません。
この3.2mmというのは、ほとんどのiPhone 15 Pro Max用のケースでも装着できる高さです。
フィルター径は30mmです。
30mmサイズのフィルターは種類が少なく、現在市販されているものでは、PLとクロスフィルター、それにND(4)の3種類ほどです。
それでも、この3種類があれば十分に楽しめます。
これらフィルターの効果についてはKenkoのサイトが分かりやすく解説されています。(さすが!)
実際に撮影した写真で効果を見ていきたいと思いますが、その前に、使用する際の注意点を。
・撮影の際はマクロモードをオフにする必要があります。
設定>カメラ>マクロ撮影コントロールをオンにして、撮影中にマクロモードのアイコン(チューリップのアイコン)が出たらタップしてオフにします。
・望遠カメラで使う際は『ProCamera』などのサードパーティー製カメラアプリを使う必要があります。
・フィルターを取り付ける際、ねじは傾いた状態で回さないでください。一度、反時計回りに回してみて、ねじ山が噛み合う箇所を探ってください。
決して、無理に回さないでください。
●PL(偏光)フィルター
外枠が回転するようになっていて、光の反射具合をコントロールできます。
青空を鮮やかに写したり、
●クロスフィルター
強い光の線を十字(クロス)に引き伸ばし、キラキラした感じを演出します。
こちらも外枠が回転できるようになっていて、光の線の角度を変えることができます。
●ND
サングラスのように光の量を減らします。カメラではスローシャッターの撮影に使われますが、iPhoneの場合、ナイトモードのコントロールにも有効です。
例えば、日が暮れてきて通常の写真では暗くなってきたけど、まだナイトモードにはならないような明るさの時、このNDフィルターを使えばナイトモードをオンにできるようになります。
PLとクロスフィルターの前面には30mmのねじが切ってあるので、フィルターを重ね合わせることもできます。
ただし、広角(1x)で撮影すると、フィルターの枠が4隅に写り込みます。
ステップアップリングを使えば、もう少し大きな径のフィルターも使えるようになり選択の幅が広がります。
マルミでは37mmのラインナップが充実しています。
私は中古カメラ屋さんで、いくつか見つけてきました。
【作例】
通称『モネの池』
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写真もデジタルになって編集でどうにでもできるようになる時代に、わざわざレンズフィルターを使う意味があるのか?という疑問もあります。
でもね、取っ替え引っ替えフィルターを交換しながら撮っていると楽しいんですよ。
で、KenkoのEXAPROと私のつくったスマホ用フィルターホルダー、どちらがいいのかって話ですが、そりゃあ、既製品のほうがいいに決まってます。
それでも、このスマホ用フィルターホルダーを使ってみたいという人は、こちらから3Dプリントの発注ができます。