“「まあ、あの烏。」カムパネルラのとなりのかおると呼ばれた女の子が叫びました。
「からすでない。みんなかささぎだ。」カムパネルラがまた何気なく叱るように叫びましたので、ジョバンニはまた思わず笑い、女の子はきまり悪そうにしました。まったく河原の青じろいあかりの上に、黒い鳥がたくさんたくさんいっぱいに列になってとまってじっと川の微光を受けているのでした。
「かささぎですねえ、頭のうしろのとこに毛がぴんと延びてますから。」青年はとりなすように云いました。”
抜粋:: 宮沢賢治. “銀河鉄道の夜”。 iBooks. https://itun.es/jp/l0tWH.l
(iBooksからコピペすると、自動で「抜粋」とリンクが生成されるんですね)
昨年、桜が満開の頃のことです。
大阪から京都に野鳥を撮影しに来ていた人が、兵庫県の加古川近辺でカササギが見れると教えてくれました。
3月から4月にかけては、巣作りのために木の枝を集めて活発に動いているそうです。
カササギというと、日本では主に佐賀県を中心とした九州に生息しているとのことですが、一部、北海道や、今回の加古川にも生息しているそうです。
京都から加古川までは、ちょっと遠いけど、九州まで行くのを思えば近い近い。
ということで、さっそく行ってきました。
カササギがいるという公園の入り口に着くと、すぐにけたたましい鳴き声が聞こえてきました。
鳴き声のしたほうを見ると、カササギが2羽、公園内へ飛んでいきました。
これで少なくとも、姿すら見られずに終わることはなさそうだと思い、まずは、ぐる〜っと公園を一周。
高く伸びた松林がキレイです。
話を聞くと、この日は3羽ほど見かけたそうで、もう巣作りは終わっているようです。
話をしているうちに、一羽、頭上の松の木の比較的低い枝に止まりました。
いそいそと機材の準備をして、撮影をはじめます。
姿はカラスに似ていますが、カラスよりやや小柄で、脚と尾羽が長くてスタイルが良く、黒い羽根が青や紫に反射して美しい鳥です。また、飛んでいる姿も美しいです。
小型の野鳥みたいにちょこまか動き回ることもないし、『これは、そんなに苦労せず撮れそうだ』と、思ったのですが……。
それからも、それなりに撮影のチャンスはあったのですが、松の木の高いところばかりに止まります。
そうすると、どうなるかというと……
枝!
枝がかぶる!
地面はおろか、先ほどのような比較的低くて葉の茂っていないような枝には止まってくれません。
おまけに、風が絶えず吹いているので、木の高いところは揺れが大きくなり被写体ブレも多くなります。
そんなことで、撮影のチャンスはそれなりにあったものの、なかなか思うようには撮れませんでした。
結局この日は、一日中ずっと上を向いていて、首が痛くなりました。
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と、これが昨年の話。
今年も、撮りに行ってきました。
今年は、けっこう地面に降りてきてくれました。
しかし、スタスタ歩きまわるので、今年も思うように撮れませんでした……。
地元の人に、少し心配な話を聞きました。
以前は10羽ほどいたというのですが、今年は3羽しか見ないと言うのです。
確かに、ほぼ一日じゅう公園にいても、3羽しか確認できませんでした。
そして、昨年も3羽。
しかも、今年は巣作りをしている様子がないということです。
どこか、他の場所で営巣してくれていればいいのですが、たとえ10羽いたとしても、存続可能な個体数としては少ないように思うのですが、どうなんでしょう?
どうやら、数が減ってきていることは、確かなようです。
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