1月も終わりのことです。
前の記事に書いたようなことを、あれこれ試しながら撮影していると、一眼レフで野鳥撮影をしているおっちゃんに「なに撮ってんの?」と声をかけられました。
こんなヘンテコな機材で撮影していると、よく声をかけられます。
私は「特に何ということもなく……」と答えると、おっちゃんは「あっちでアオバト見れるから行ったらええよ」と教えてくれました。
アオバト!?
よく知らないけど、こんな街の中心部で見られるものなのか?
なんでも、向こうに樫の木があって、昼の12時から1時くらいに、その木の下に落ちているドングリを食べにくるということです。
時刻は12時を少し回ったところ、ちょうどいい時間です!
さっそく、教えてもらった木のところに行ってみます。
この木です。
ハトからしてみれば、けっこう大きいけど、これを食べるのか?
木の周辺には、すでに三人ほど待機していました。
おばちゃん二人と、三脚を立てているおっちゃん一人。そのうちの三脚を立てている人に「ここでアオバトが見れると聞いてきたんですけど」と聞くと、すでに3羽くらい木に入ってきているとのこと。
人が木の近くにいると警戒して降りてこないから、下がって待つように言われました。
その後、しばらく待っても降りてくる様子もなく、おばちゃんの一人はどこかへ行ってしまい、三脚を立てて待機していたおっちゃんは、周辺の様子を見に行きました。
私は言われた通り、木から離れたところで、じっと待機していたのですが、もう一人の残ったおばちゃんは待ちきれない様子で、木の下に行って枝を見上げてアオバトがいるか探しています。
そこへ、
「あんなことしたら、降りてこなくなります!」
と、双眼鏡を首にかけた、普段から観察していると思われるおばちゃんがやってきました。
「これで1時間は降りてこなくなります。一人ならいいけど、他に待ってる人がいる時はねぇ……」と言って、木の下のおばちゃんを注意しに行かはりました。
注意されたおばちゃんは、どこかへ行ってしまいました。
『そうか……、しばらく降りてこないのか……』
それでも、木の中にいるのだから、そのうち降りてくるだろうと、引き続き待つことにしました。
しばらく一人で待っていると、ハトらしきものが2、3羽、木に入って行くのが見えました。
今の、アオバト?
シルエットは、確かにハトでしたが、色までは確認できませんでした。
すると、周辺の様子を見に行っていたおっちゃんが、「いま、来たやろ?」と戻って来ました。
どうやら、今のがアオバトだったようです。
おっちゃんは、少し離れたところに三脚を構えて待機。
その後も、2、3羽、同じように飛んで来て木に入って行きました。
しかし、枝にとまっている姿を確認しようとしても、小鳥みたいにちょこまか動くわけでもなく、木の外からではまったく分かりません。
再び、静穏な時間が経過していきます。
と、そこに、
「先ほどは、すみませんでした」
と、さっき木を覗き込んでいて注意されたおばちゃんが戻ってきました。
なんでも、この園内でアオバトが見られるという話を聞いて、一年くらい通ってるけど、まだ一度も見たことがないということです。
手には、高倍率ズームレンズのコンパクトデジタルカメラを持っています。
そこに、もう一人、双眼鏡を持ったおっちゃんが来ました。
おっちゃんは、午前中に一度見れたそうです。
それから、しばらく三人で待ちます。(少し離れたところに、三脚を構えたおっちゃんもいます)
木の中には、確かにハトがいるはずなのですが、まったく動く気配がありません。
と、突然、ハトらしきシルエットが、一段下の枝に移るのが見えました。
しばらくすると、また一段下の枝に移動しました。
だんだんと、降りてきているのか?
ということは、もうすぐ地上に降りてくる?
注視して待っていると……
降りて来た!
急いでiPhoneのロックを解除して、照準器の電源を入れる。
捉えた!
距離も離れていますし、派手な色に見えても、草にまぎれると、あんがい目立たないものです。
iPhoneの画面を見せてあげると、「分かった!」と、おっちゃんも確認できました。
おばちゃんは、別の角度から撮影しています。
「お、オスも来た」と、おっちゃん。
「え?どこか違うんですか?」
「肩のとこが、紫になってるやろ」
「あ、ホントだ」
10羽はいるでしょうか。
あのドングリを丸呑みしています。
(35mm判換算レンズ焦点距離:990mm x iPhoneのデジタルズーム2.0X|f値:2.4|シャッタースピード:1/181|ISO:50)
(35mm判換算レンズ焦点距離:990mm x iPhoneのデジタルズーム2.0X|f値:2.4|シャッタースピード:1/164|ISO:50)
(35mm判換算レンズ焦点距離:990mm x iPhoneのデジタルズーム2.0X|f値:2.4|シャッタースピード:1/181|ISO:50)
夢中になって撮影していると、5分ほどで飛び去ってしまいました。
おばちゃんは、一年越しの思いが叶って喜んでいました。
結局、2時間くらい、じ〜っと待っていたことになりますが、それだけのことはあります。
日本のハトとは思えない綺麗さ。
降り立った瞬間、木の周辺だけが別世界になった感じがしました。
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・鳥の写真は、フィールドスコープにiPhoneを接続して撮影しました。詳しくは、こちらをご覧ください。
『iPhoneで望遠撮影 -1:フィールドスコープ』
・写真は、ファイルサイズの縮小以外、手を加えていません。
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